日本代表からのメッセージ

 

岸田 雅裕(きしだ・まさひろ)
A.T. カーニー 日本代表

1961年生まれ。松山市出身。東京大学経済学部卒業。ニューヨーク大学スターンスクールMBA修了。パルコ、日本総合研究所、米系及び欧州系コンサルティングファームを経て、2013年4月A.T. カーニー入社。著書に『マーケティングマインドのみがき方』、 『コンサルティングの極意』 (ともに東洋経済新報社)がある。

社会へのイノベーションが停滞する日本

かつて日本や日本企業に注がれた脅威と羨望の眼差しは、バブル崩壊後の「失われた20年」で否定的なものに変わりました。2007年の世界金融危機を経た現在、どの国もバブル経済とその崩壊に無縁ではないことが共有され、日本が今日まで辿った道はそれほど悪くはなかったという声も出てきていますが、やはり日本の影響力低下は否めません。

国内を見ると、東京の街並みに限ればこの20年で整備が進んだものの、地域経済は弱体化が進み、コミュニティの存在が薄れるなど、各地域の特色が失われつつあります。日本企業は、社外取締役や成果報酬制度といった「洋才」の移植を試みましたが、いずれの産業でも世界トップ10ランキング圏外に去る企業が相次いでいます。技術革新の連続に反して、社会に対するイノベーションは停滞していたと言えるでしょう。

世界から憧憬される日本社会をつくるために

しかし今、停滞からの脱出の兆しはあります。東日本大震災後に示した日本人と日本の社会の耐性は、世界からの賞賛を得ました。「和食」が世界遺産として認められたように、日本の文化は憧れの対象として、また高い質の象徴として世界中に広がりをみせ、日本を訪れる人も増加しています。

グローバル事業を海外事業部などの「出島」を通して経営することが多かった日本企業でも、ようやく日本を「本国」ではなく世界市場の一つとして相対的に位置づけるなど、「日本に源流を持つグローバル企業」を志向する動きが出てきました。今、必要なのは「経営チームの多様化」です。多くの伝統的日本企業の本社は、均質的な人材同士、社内でしか通用しない言葉で話す、いわばかつての「藩」のような存在だといえます。これでは、世界で起きている熾烈な人材獲得において劣後し、多様な価値観が溢れる市場でのグローバル競争で勝つことはできません。このままでは、日本企業が尊敬や憧れの念を抱かれ続けることは難しいと危惧します。

今後、私たち日本に生きる者が目指すのは、世界から憧憬される社会をつくることだと考えます。日本は課題先進国です。高齢化において世界の先陣を切っていますし、エネルギー問題も同様です。社会が抱える課題の解決方法を他の先進国に倣うことができた過去とは異なり、これからは、日本が解決の先鞭をつけなければなりません。課題解決に向けたイノベーションを連続的に生み出していけば、日本の社会は目指す姿に近づけると信じています。

「共創」(co-creation)を通して企業と社会のイノベーションに貢献します

A.T. カーニーの日本オフィスは、この目標のために貢献するという強い意思を持っています。

これまでも私たちは、日本企業や日本で事業を営む外資系企業、官公庁などの顧客企業に対し、プロジェクトを通じて目に見える成果を出すことで、高い評価を頂いてきました。また、持続的成長をもたらす優位性創出のための戦略提言も数多く採用され、実行段階にあります。

これからも、顧客企業や外部パートナーとの「共創(co-creation)」によってイノベーティブなアイデアを創出し、顧客企業や社会に対してインパクトを提供し続けたいと考えています。日本企業が真のグローバル企業に生まれ変わるための支援にも、引き続き注力していく所存です。そのためには、次なる論点を設定し、解くべき課題を定義し続けていかなくてはなりません。そこで私たちは、グローバルファームとしての特性を活かし、社内の各業界・経営テーマの専門家と知見を共有するとともに、社外の様々な方々とのネットワークを通じて、常に多様な視点を取り入れるための「対話」を心がけています。

A.T. カーニーのコンサルタントは、「経営の視点」と「現場での協働姿勢」を併せ持つ姿勢を評価して頂いています。今後はさらに、「共創」によって企業と社会のイノベーションに貢献し、日本を世界から憧憬される社会をつくりあげることを通じて、私たちは「The most admired firm(最も評価され、信頼されるコンサルティング会社)」になることを目指します。

執筆、メディア掲出など

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