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梅澤 高明(うめざわ・たかあき)
A.T. カーニー 日本代表 パートナー
東京大学卒業後、日産自動車でマーケティングなどを担当。マサチューセッツ工科大学スローン校でMBA 取得後、A.T. カーニーのニューヨーク・オフィス入社、'99 年より日本オフィス。国内大手企業を中心に、全社戦略・事業ポートフォリオ、グローバル戦略、組織改革などのコンサルティングを行う。
グロービス経営大学院客員教授。東京大学・神戸大学などで講師も務める。
主な著作に「ストレッチ・カンパニー」(翻訳、東洋経済新報社 2005年刊)、「グループ経営戦略と管理」(共著、企業研究会2008年刊)など。
世界経済危機のショックから立ち直り、新たな経済・産業構造を構築して「能動的な再成長」を目指すのか。それとも、人口減少と高齢化、製造業の空洞化を甘受しつつ、一人当たりGDPの維持と格差解消を両立する「優雅な衰退」を目指すのか。あるいは、どちらにも失敗して「惨めな縮小」を迎えるのか。
「2008年危機」が明らかにしたのは、一部の産業に依存する日本経済の脆弱性でした。戦後最長の景気拡大期、「いざなぎ超え」と呼ばれた経済成長でしたが、その期間の日本経済全体の利益増は、電気機械、輸送用機械、一次金属、一般機械の4産業で全て説明できてしまいます。米・中を始めとする世界市場の成長に紐づいた「グローバル製造業」が、量的緩和政策による人為的な円安に乗って輸出攻勢をかけ、その利益が日本経済全体を支えていた訳です。今後、世界経済が本格的な復活軌道に乗ったとしても、この構図は戻っては来ないと考えるべきです。
バブル崩壊後、「構造改革」が長年叫ばれてきたにもかかわらず、旧来型の産業構造の延命で対処してきた日本を、今度こそ変革すること。それが今、日本が最も必要としていることです。
第1に、少子化対策および人材開国(移民受け入れ)による人口構造の転換。第2に、企業セクターのグローバル市場からの収益の拡大。特に外貨を稼げる「グローバル産業」のラインナップを広げていくことが重要です。第3に、「内需型産業」の高度化と効率化。そして第4に、金融市場・金融産業の強化と個人金融資産の運用リターン向上です。
A.T. カーニーは、これらの課題解決へ向けて、活発に動いています。
金融業に関しては、我々はその進化を長年支援してきた業界リーダーです。また、通信、メディア、教育など、内需型の第三次産業の高度化にも様々な貢献をしてきました。同時に、過去数年間、我々のコンサルティング活動のコアとして取り組んでいるのがグローバル産業のラインナップ拡大です。
例えば、自動車や電機などの製造業において、優れた環境関連技術を持つ日本企業の、世界展開とビジネスモデル構築を支援しています。また、消費財やサービス産業など、従来“内需型”とされてきた産業での、グローバル化へ向けた変革も幅広くサポートしています。加えて、性能・品質など機能価値だけで勝負するのでなく、日本の文化力を背景とした感性価値・情緒価値を軸に、世界で稼げる産業群を作っていく「日本文化産業戦略」にも着手しています。
「顧客企業の成功が、A.T. カーニーの成功である」という創業理念のもと、我々は、机上の空論に止まらない本質的なコンサルティングを、80年以上にわたり追求してきました。
我々は変革の「現場」にこだわり続けています。クライアントと膝をつきあわせ、共に悩み、汗をかく。顧客企業の経営者だけでなく、現場のメンバーとともに試行錯誤を繰り返し、実践し、「目に見える成果」を実現してきました。
「日本を大きく変革したい」という想いと、顧客企業で、変革の成果に最後までこだわるDNA。この2つが組み合わさった時に、我々のポテンシャルが最大限に発揮され、日本の変革になくてはならないプロフェッショナル集団、名実ともに“The BEST FIRM”に成長できると考えています。

この4つを、高度なバランスで併せ持つプロフェッショナル。これが、一人一人のコンサルタントが目指すべきゴールです。
経営課題を解決するプロフェッショナルとして、トップダウンで企業を俯瞰する「経営視点」と、高度な「専門性」が必要なのは当然です。また「実行力」も、「目に見える成果」を実現する上で、不可欠の資質と言えます。
同時に、我々は一人一人の「志」の高さを大切にしています。プロフェッショナルとは、自律的な存在です。どのような視点で、どれだけ大きな仕事をするかを決めるのは、最後は自分です。また、志の高い人ほど、継続して努力を続け、その努力が成長につながってくるのです。同時に、メンバーが持つ志の総和が、ファームの成長上限を決めるとも言えます。
今後、日本の未来の姿を構想し実現していく上で、我々コンサルタントの活動領域はいよいよ広がり、より高い視座と幅広いスキルが求められるようになります。例えば、個別企業の問題解決だけでなく、異業種のコラボレーション、さらには政府も巻き込んで業界構造を変えていくような仕事。分析と論理構築だけでなく、感性と想像力を駆使して、新たな価値を生み出していくような仕事。クライアント・ファーストの基本姿勢と、世界と日本の将来に思いを馳せる高い視座とを組み合わせて、スケールの大きな仕事を手掛ける――。これこそが経営コンサルタントの新しい姿である、と考えています。